□ タイトルはない 6










 あの男から、やっと解放された。
 ほぼ半年間、毎日のように強いられた淫靡な行為や精神的屈辱を考えれば、それ相応の償いを味あわせてやりたいと思っていたけれど、
 いざ別れの言葉を口にされ、その後に謝られたら―――もはや笑うしかない。
 カカシは、別れる、という言葉を使った。
 少なくとも、人間として見てくれていたようだ。

 もういい。
 あんたなんかどうでもいい。


 


 例のカカシの想い人は、その後本当に里に戻ってきた。
 何度か一緒にいる所を目にした。
 真っ直ぐな、艶やかな黒髪を高く結い上げた、眼差しの強い印象的な美女。
 
 いったいどこが似ていると言うのか。

 首を傾げるばかりだが、
 二人はつがいの鳥のように常に一緒にいた。
 似合いの恋人同士を周囲が噂し、その度に反吐が出そうになる。
 相手の女性は、その隣にいる男の本性に気付いているのだろうか。
 いや、仮にも上忍の一人、きっとしたたかな女性だろう。

 勝手にしてくれ。

 あの別れ話以来、イルカは頭の中からカカシの存在を追い出した。
 すぐに忘れるには強烈すぎる半年だったが、互いに目も合わせない以前の状態に戻ると、記憶も次第に薄れていく。
 もう、存在したことすら忘れてしまおう。
 何度も何度も身体を洗い流して――――あの男の匂いも、きっと落ちた。 


 なのに、
 なぜ、この男は俺の前にいる?


「イルカ先生、相談なんですが」

 
 帰宅途中、カカシは忽然と現れ、
 世間話のように言った。


 ―――――オレとヨリ戻せませんかね?



 アホだ。この男は。










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2003.03.21

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