□ タイトルはない 10 










 なんとか元にさやに戻れた。
 自分としてはもう恋人同士のつもりだが、当のイルカの心は頑なだ。
 まあ、始まりがアレなので仕方がないが、これから立て直せばいいことだ。

 しかし、ある時心の触れ合いを込めて、例の究極の選択をイルカに尋ねてみたが、
 崖にぶらさがっているオレと、三代目、もしくは子供たちの誰か。
 どっちを助ける、と聞く前に、

「カカシ先生、俺に好かれてるとでも思ってるんですか」

 ときつーいツッコミをもらった。
 道は険しそうだ。








 それから何日か経って、
 手紙が、一通イルカの家に届いた。
 差出人は――蓮華。
 カカシではなく、イルカ宛てに。
 
 中を見たあの人が、少し困ったような複雑な顔で手紙を持ってきた。
 アイツらしい。
 カカシのことは任せたと、
 その一言だけ書かれていた。
 手紙なんて滅多に書く女じゃない。

「アイツ、もう戻ってきませんね」

 なんとなく、そんな感じがした。








 戻ってきませんね、じゃない。

 カカシの言葉に、イルカは内心ため息をついた。
 ―――もしかして、似たもの同士ではないか。
 こんなの任されても困る。

 結局、元のさやに戻ってしまったが、自分はけして納得したわけではない。
 すべては有耶無耶だ。
 時間を見つけてはだらだらとウチに入り浸るようになってしまった上忍。
 何一つ前と変わらないようで―――ただ一つ、
 
 ―――もう代わりではない、とカカシが断言することだけが異なった。

 では、代わりではないなら何なのだ。
 そう尋ねると、恋人だときっぱり言われた。
 彼女はどうなるのかと尋ねると、
 アイツも恋人‥、とやや小声で言われた。

 そういうのを二股と言うんですよ。

 そうやり返すと、イルカ先生への愛の方が大きいと真顔で言う。
 この人は相変わらずアホです。


 でも、もうそれでいいと思います。


 カカシには内緒で、彼女に手紙を書こう。
 何て返事を書くかは―――――――秘密だ。










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2003.03.22

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