006:ポラロイドカメラ









 古い写真がある。
 そこに写っているのは、平凡な家族。
 両親に挟まれた子供は、はちきれんばかりの笑顔を浮かべている。
 
 もう、あの人たちの写真はこの一枚しかない。








 ナルトがカメラを持ってきた。
 写真屋から拝借してきたらしい。
 やっと咲いた花の写真を撮る為だったが、せっかくだからと。

 写真が欲しいのか。

 少し顔色を窺うように見上げる子に、悄然とした気持ちになる。
 自分には両親の記憶も写真もあるが、この子には何一つ存在しない。

「ああ、皆で撮ろうな」

 イルカは笑顔で承諾した。


 ――――が、


 またも墓穴を掘ってしまったらしい。
 並んでー! と大声を上げるナルトは、嬉しそうにカメラのタイマーを合わせる。
 もう何枚撮っただろうか。
 
「ナルト、嬉しそうですね〜」

 撮ったばかりの写真を並べ、わいわいと騒ぐ子供たち三人を遠目に、隣のカカシが言った。

 ―――皆と。

 確かに自分がそう言った。が、自分としては三代目を対象としていたのだが。
 いや、これは喜ぶべきことだ。
 あの子に、一緒にいた時間を残したいと思う人間ができたことを。


 その中に、この男が混じっていたことは驚きだったが。


「イルカ先生! カカシ先生! 並んで!」

 ナルトがカメラを構えて大声を張り上げる。
 そんな写真はいらないとは言えない、はしゃいだ声。

 嫌々カカシの隣に並ぶと、
 ぴったりくっついてきた。
 腰の辺りに手を置かれ、身体が強張る。
 子供たちには見えない背で、無体な嫌がらせを強いる上忍。
 この男を信頼している子供たちが、心から心配だ。



 あの子が撮った写真だから、捨てることは出来ない。
 少ない写真たちに紛れて、止まった時は残り続ける。
 もう二度と見ることはないか。
 それとも、

 いつの日か、こんなこともあったと笑い逢える日でも来るだろうか。




 ありえないな。




 カカシの手を目一杯強く叩き落としてやった。










 

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2003.03.26

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