009:かみなり









 急な任務が入った。
 一週間の休暇が台無しだが、仕方がない。

 急ぎの仕事のため、イルカに連絡が出来なかった。
 だが合鍵は渡してある。勝手に上がって掃除をして帰るだろう。
 オレとしては、食事を作って待ってて欲しいが無理かな。
 
 中忍の壁はなかなか手強い。

 火影に訴え出られても、どうにでもなるが、それほど急いではいない。
 それに最近、イルカの態度が軟化してきたような気がする。
 現状に慣れたのか。諦めたのか。
 辛辣な言葉も心地いいが、人として気を使われるのも気分がいい。


 もっと贅沢を言えば、その体を堪能させて欲しいのだが。










 平和ボケかな?
 肩のキズを、少し甘く見ていたかも知れない。

「‥‥‥やだねぇ」

 血の匂いは嫌いじゃないが、乾いた後の感触が嫌だ。
 早く風呂に入ってさっぱりしたいが、その前にあちこち開いた肉を縫合しないとまずい。
 
 だから新米は嫌なんだ。
 少し高すぎる任務ランクだと思っていたが、案の定帰ってきたのはオレだけ。
 死体処理班に任せてきたが――後味の悪さは仕方がない。
 一応オレにも、人並の精神は通ってるんだよ。

 まあ大したキズじゃない。
 自分でできるだろうとそのまま家に帰ったら、


 あの人が仁王立ちしていた。




「あんた、阿呆ですか!」




 眉間に皺を寄せ、イルカは手当てをしていないことをこっぴどく叱りつけてきた。
 情報も、もっとマメに受付に回せと。
 一時行方知れずになって、受付がパニックになったと。
 どこまで人に迷惑をかければ気が済むのかと。

 怪我の手当てをテキパキとしながら、イルカは始終怒っていた。
 子供みたいに怒られているが―――腹は立たない。


「イルカ先生」


 なんですかっと声を荒げる男に、いきなり襲いかかった。
 唇を奪うと、充実感に満たされる。
 中を探りたくて舌を伸ばしたけど、

「痛」

 思い切り噛まれた。


「――――気持ち悪いことしないでください‥‥っ」



 うわぁ、きっぱり言うね。



 でも、


「イルカ先生、お腹すいた。何か作って?」




 上目遣いに訴え出れば―――オレの勝ち。


「〜〜〜〜」


そう。怪我人はほっとけないよね。





 美味しいご飯、大変結構。


 そうやって、
 ゆっくりオレに慣れていってください。



 急ぐと、



 オレはきっと、アンタを壊しちゃうからね。









○ BACK ○
2003.04.01

FC2 キャッシング 掲示板 無料アクセス解析
inserted by FC2 system