017:√
何もかもなし崩しの状態だった。
踏み込んだ世界では、毎日必死に足掻くだけ。
自分を嘲り罵り、必死に出口を探す。
逃げ出したい。いつでもそう思うけれど、
カカシは、更に奥まで腕を引っ張っていく。
―――振り払えない強い腕。
彼は、生徒にとってはとてもいい教師だ。
多くの経験から、いい方向へと子供たちを導いている。
‥‥‥たくさん理解できない部分はあるけれど、
最初からこんな関係を望んだわけじゃない。
できれば、互いの良き部分を分かち合えるような関係になれたらと、
そんなことを夢見てた。
一度、それを試みようとして玉砕した。
彼の見せてくれた世界はあまりに深くて、俺は適わなかった。
所詮、他人を理解するなど無理な話だった。
だが、イルカは思う。
‥‥どうしても、理解しなくてはならないのか?
違いすぎる二人。
得られるモノなど、この先ありはしないのかもしれない。
たとえば、
一歩、一歩共に歩いたとしても、その歩の数は狂ってくる。
カカシと同じ道を歩くのは―――自分にとってとても困難だから。
でも、あの人が強く手を引くから。
早く果てに立った自分を見たいと、冷たく嬉しそうな笑顔を見せるから。
抗えないならば、行ってやろう。
その先にあるのが、―――たとえ、死でも。
もう好きにしてくれ。
そこまで考えて、少し気付いた。
むしろ、永遠の静寂を求めているのは、
自分なのかも知れない。
あの人の言うとおり、
―――――限界は近い。
○ BACK ○
2003.04.12
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