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 何もかもなし崩しの状態だった。
 

 踏み込んだ世界では、毎日必死に足掻くだけ。
 自分を嘲り罵り、必死に出口を探す。
 逃げ出したい。いつでもそう思うけれど、
 カカシは、更に奥まで腕を引っ張っていく。

 ―――振り払えない強い腕。

 



 彼は、生徒にとってはとてもいい教師だ。
 多くの経験から、いい方向へと子供たちを導いている。

 ‥‥‥たくさん理解できない部分はあるけれど、
 最初からこんな関係を望んだわけじゃない。 
 できれば、互いの良き部分を分かち合えるような関係になれたらと、
 そんなことを夢見てた。
 一度、それを試みようとして玉砕した。
 彼の見せてくれた世界はあまりに深くて、俺は適わなかった。
 

 所詮、他人を理解するなど無理な話だった。


 だが、イルカは思う。

 ‥‥どうしても、理解しなくてはならないのか?



 違いすぎる二人。
 得られるモノなど、この先ありはしないのかもしれない。
 たとえば、
 一歩、一歩共に歩いたとしても、その歩の数は狂ってくる。
 カカシと同じ道を歩くのは―――自分にとってとても困難だから。

 でも、あの人が強く手を引くから。
 早く果てに立った自分を見たいと、冷たく嬉しそうな笑顔を見せるから。



 抗えないならば、行ってやろう。
 その先にあるのが、―――たとえ、死でも。

 もう好きにしてくれ。













 そこまで考えて、少し気付いた。


 むしろ、永遠の静寂を求めているのは、
 自分なのかも知れない。



 あの人の言うとおり、
 ―――――限界は近い。










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2003.04.12

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