019:ナンバリング









 久しぶりの任務だ。
 上忍の助手として、Aランク。
 長くアカデミーにいた自分には、少々厳しい内容だった。
 止める者もいたが、写輪眼のカカシが決めたことに文句をつけられる者は少ない。
 火影様の声も、カカシは自分がサポートするからと押し切った。
 守られては助手の意味が無いのだが。

 ただ連れて行きたいだけだといえばいいのに。










「―――伍の参。準備はいいか」

 上忍の一人に声をかけられ、はい、と返答した。
 伍の参。
 名ではなく、ナンバーで呼ばれるのは久しぶりだ。


 カカシのサポートが、今回の任務の役目だ。
 自分には荷が重過ぎるが、せめて足手まといにはなるまいと思っていたが、

「‥‥伍の一‥‥っ、待っ‥‥‥」

 見えなくなりかけるカカシの背に、おもわず声をかけた。
 戦場を疾風のように駆け抜けるカカシ。あの男に助手などいるものか。
 後ろを振り向くことなく、ただただ、深い戦場へと仲間を引っ張り込む。
 伍の部は自分だけではない。
 隊長たるカカシは、他の仲間を顧みることなく己の任務だけを遂行する。
 よくもチームワークなんて言葉を知ってるものだ。

 それとも――――わざとか?

 ついていくのも必死なのに、敵忍の攻撃は止まない。
 自分は運がいい。
 他のメンバーはほとんど上忍だと言うのに、
 すでに伍の部は半分になり、ずいぶんの数を後に残してきた。

 いずれ、自分もその中に。

 身近に訪れた死の感覚に、イルカは総毛立つ。
 覚悟していたはずだ。
 それを望んでいるとすら思っていた。

 足元まで滴った血で、体勢が揺らぐ。
 あの男に案内されるまま連れてこられた果ては、何も無い、血と叫びの地。
 もういっそ、このまま飲み込まれてしまおうか。

「――――‥‥‥っ」

 消えかけた意識を繋いだのは、背中で響いた苦痛の声。
 トラップに、複数の仲間が捕らわれていた。
 統率の乱れた伍の部は、完全に敵中にはまっている。
 
 イルカは唇を噛み締めた。

 自分の悲鳴なら、どうでもいいのに。
 どうして、他人の悲鳴には耳を塞げないのか。

(‥‥俺は馬鹿だ‥‥っ)

 この時ほど、自分のお節介を呪ったことはなく、
 同時に、感謝したことはなかった。

 
 体を反転し、トラップにかかった仲間の元へ戻る。
 足が――なぜかとても軽い。
 
 それはきっと、
 何かを振り切ったからだ。






 自ら死を求めるなんて―――俺じゃないだろ!










○ BACK ○
2003.04.12
FC2 キャッシング 掲示板 無料アクセス解析
inserted by FC2 system