026:The World









「オレ、アンタのこと好き」

 帰りの道中、カカシは唐突に言った。
 すっかり元通りのカカシの足取りは軽く、対してイルカの方はまだ薬の影響を引きずっていた。
 カカシの突然の告白に、イルカはきょとんとしている。
「アンタのこと、今も嫌いで鬱陶しくてしょうがないけど、認めます。オレはアンタに惚れてるようです」
「‥‥‥ずいぶんな言い草ですね」
 ふてぶてしさすら感じる告白にイルカは辟易したが―――カカシらしい、となんだかおかしい。
「嫌いなのに、好きなんですか?」
「何事も紙一重でしょ」
「あなたは、自分でちょっと極端すぎると思いませんか」
「まあまあ、いいじゃないですか。アンタの気持ちは聞きたくありません」
「‥‥‥あなたの世界は複雑すぎて分かりません」
 ため息をこぼすイルカに、カカシが肩越しに振り返った。
「―――そりゃ、オレですから」
「‥‥‥‥‥‥」
 ああ悔しい。
 頭に来る。
 なんて妙に説得力のある言葉なんだ。
(‥一生理解できないな)
 イルカは天を仰いでため息をついた。
「‥‥‥俺は凡人ですから、どこまで一緒に行けるか分かりませんが」
「構いません。――――オレはアンタがいい」
 カカシの声は迷いがない。
 そこまで、
 俺を選び、俺がいいというのなら。 
(‥‥一緒にいますよ)
 イルカは諦め、納得した。
 理解しあうことは出来ないかもしれないけれど、同じ物を感じることは出来る。
 喜びも悲しみも、
 生も死も、
 できるだけ共に分かち合いましょう。


 あなたの色の、
 銀色世界で。





END










 

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2003.05.06

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