027:電光掲示板
裏通りにある電光掲示板は、いつもくだらないメッセージで埋め尽くされている。
光りもしない掲示板は、ほとんど半壊状態。悪ガキたちのいいらくがき帳になっているが、外されることはない。
―――掲示板を利用する者は他にもいた。
「‥‥‥相変わらず、くっだらないらくがきばっかだねぇ」
汚い掲示板を見上げ、銀髪の男は気だるげに呟いた。
人気のない通りは、夜明け前の静かな空気に包まれている。
頭に上げた面と、背に担がれた刀が男の身分を表していた。
まっとうな忍なら、極力接することを恐れる暗部。
「‥あったあった」
男は片隅に書かれた赤い文字に注目した。
それは、自分宛のメッセージ。一般人には奇妙な羅列としか判断できないが、暗号文の一種だ。
解読できるのは暗部の人間だけ。
裏通りの掲示板は、時に暗部への伝達用に使用されていた。
「‥‥山賊かぁ。‥‥今日中には終わるかな?」
内容を読み取り、男は茫洋とこぼした。
明けを迎えた空とは反する、暗い色違いの双眸。
お仕事、お仕事、と呟き、
犬の面を被った男は、音なく姿を消した。
○ BACK ○
| FC2 | |||