035:髪の長い女
「カカシ。あんた、最近仕事受けすぎじゃないの?」
まだ鳥も目覚めない早朝の受付の待合室にいた先客が、開口一番文句をつけてきた。
「ちっとも人のこと構ってくれなくて‥‥‥。つまらないわ」
艶やかな髪を払い、女は面越しに苛立ちを見せる。
カカシは声と体型から記憶を探った。
あれだ。確か、前に何回か寝た女だ。
「受ける仕事も、もう少し選べば?」
ぶっきらぼうで、男まさりの女。一応心配してくれているらしい。
可愛いねぇ。
でも、その点の心配はもう無用なんだな。
「平気。懺悔聞いてくれる人見つけたから」
「‥は?」
要領を得ない、と首を傾げる女に、カカシは「そういうことだから」と話を終わらせた。
仕事、仕事と呟いて出て行くと、
「―――知らないから」
と、最後の言葉を投げつけられる。
残念。
言われ慣れてるよ。
依頼書代わりの掲示板に、新しい任務があった。
この間の山賊退治の後始末だ。
生き残りが、木の葉の里にもぐりこんだらしい。
抹消対象は、賊長の女。愛妾の中でも一番若い女らしいが、他の残賊を集める動きを見せている。
後継ぎの予定だった弟と一緒に逃げ回っているらしいが、
山賊退治はキリが無い。
根元を完全に断たなくては、くだらない仕事はどんどん入ってくる。
(子供もやらなきゃ駄目かな?)
後味の悪そうな仕事だ。だから、残っているのか。
しかし、
(大丈夫)
オレには許しを与えてくれる人がいるから。
子供だって容赦はしない。
さっさと終わらせて、またお堂に行こう。
お仕事。
お仕事。
○ BACK ○
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