041:デリカテッセン









 夜も遅く、飲食店のほとんどは閉まってしまった。
 イルカは男を連れ、知り合いの店を訪ねた。
 こちらも閉店間際だったが、なんとか席に座らせてくれる。
 しかし、料理の注文は締め切ったらしく、代わりにイルカが作ることになった。
 親しい店の店主だからこそ許してくれたことだ。
 ありがたく思いながら、男を貸し切り状態のテーブルにつかせ、急いで調理をする。
 手早く料理を用意していくと、目の前に広がっていく色鮮やかな食べ物に男は目を丸くした。
 やっと一息ついて向かい側に腰を下ろすと、
「どうぞ」
 とイルカは声をかけた。
 男はぼんやり料理を見詰めながら、そっと箸を手に取った。
 もそもそと口に運び、
「酒以外の夕飯を取ったのは久しぶり」 
 とぼそりと呟いた。ついでに、美味しいと。
 イルカは心から安堵の息をついた。
 良かった。食べてくれて。
 ―――この人も、きっともう大丈夫。










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