081:ハイヒール
砦を囲む壁は予想以上に強固だった。
木の葉流に似ているが、あえて口には出さなかった。一瞬の気の緩みが死に繋がる。
暗部姿のカカシはすみやかに砦の奥へと道を切り開いた。
砦の補修作業にあたっていた労働者以外に、応戦してきたのは雇われた護衛らしい。
金にものを言わせて揃えたてだれたちは、かなりの腕前で思ったより時間を取られた。
それでも、存外容易い。
砦攻略が始まって一時間も経過していないが、木の葉の部隊は砦の奥へと侵入した。
目指すは麝香獣の幹部。誰か一人でもいいが、一番のターゲットは商団の総帥の女だ。
総帥の代理として現在ほとんどの仲介を取り仕切っている。噂では、その女が現れてから急激に麝香獣は力をつけ始めた。裏取引の証拠を押さえるには格好の生きた証人である。
「靴だ」
砦内に人影は無かった。替わりに残っていたのは――赤いハイヒール。
その先に地下へ続く階段があり、カカシは逡巡した。地下道は予定になかった。当然罠も仕掛けられているだろうが、ここで逃せば無駄骨だ。
部隊を二つに分け、カカシは追跡チームに加わった。
急いで後を追おうとしたが、
「入ってはいけない‥! 罠だ!」
切羽詰った止める声。
どこかで聞いた声だ。
振り向こうとしたが、足元に振動が走った。
「‥‥、‥‥引け‥‥っ!」
カカシの制止が響く。しかし、大きくなる轟音にかき消されていく。
見えたのは白光。
激しい衝撃に、カカシは意識を失った。
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