083:雨垂れ
部隊の半数以上が怪我を負った。
否応無しに、しばしの回復と療養の時間を強いられることになった部隊は、近くの名もない村に身を寄せた。
麝香獣に不当に働かされていた労働者が多く滞在する村は、医療物資を提供した木の葉の忍びたちに好意的で休むための小屋を貸してくれた。
古くとも屋根があるだけありがたい。
燃える砦の煙が呼んだのか、夕方から雨が降り始めた。
負傷者と一緒に小屋で横たわるカカシは、湿気の匂いに大きなため息をついた。
壁を盾にして爆発の直撃は避けたものの、骨を何本か折った。左腕に続き、最近まったくついていない。腕が鈍ったわけではない。――ただ、やたらとツキがないのだ。
迷信に惑わされるつもりはないが、戦場では意外に縁起を担ぐ。そしてある意味正しい。
運もまた、力の一つだ。
「ついてないな、カカシ」と仲間にからかわれ、うるさいよと心底思う。
ごろりと仰向けになり、軒から滴り落ちる雨水を見上げ、
(‥イルカ先生の涙みたいだ)
そんなことをぼんやり思った。
一度も泣いたところを見たことはないが、あの人はいつも悲しそうだ。
にこにこ笑っているけれど、何度か会って印象は変わった。
こんなことは言いたくないが、あの陰鬱な場所がとてもよく似合う。
会いに行こう。
怪我をして、どうせ今日一日は動けない。
イルカに会えることを祈って、カカシは目を閉じた。
すぐに遠くで甲高い声が聞こえる。
最近、夢に入る前に聞こえる鳥の声。
あの声は不吉だ。本能でそれが分かっていたが、
今すぐ会いたかった。
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